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なぜ渋谷ヒカリエで宝塚フェア? 〈CHOUCHOU〉店長中井に聞いてみた。

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なぜ渋谷ヒカリエで宝塚フェア? 〈CHOUCHOU〉店長中井に聞いてみた。

宮益坂下の雑踏をかき分け、明治通りから渋谷ヒカリエに一歩入ると、最初に目に飛び込むセレクトショップ〈CHOUCHOU〉(シュシュ)。SPBSが2012年にオープンした雑貨店はいま、乙女心をくすぐるアクセサリー、旬のファッション雑貨だけでなく、民芸品や伝統工芸、はたまた地方の物産展まで!? バリエーション豊かなラインナップが魅力の一つです。意外な組み合わせで新しい価値を生み出す〈CHOUCHOU〉のお店づくりのキーパーソン、店長中井による渾身の企画をご紹介します!
 
文・写真=SPBS編集部

渋谷の〈CHOUCHOU〉で宝塚、やります。

──中井さん、宝塚のフェアをやるって、本当ですか?

中井:本当です! 3月22日から、3人の元タカラジェンヌの皆さんがそれぞれアクセサリーブランドとコラボしたスペシャルアイテムを販売するんです。同じく22日から、東急シアターオーブで始まる、宝塚雪組の公演に合わせてフェアをやります。

──改めて、〈CHOUCHOU〉の振り幅ってすごいですよね、この前までは熊本フェアで(2月に開催していた〈KUMAMOTO SUPER MARKET〉のこと)、今度は宝塚ですか……。中井さんの宝塚好きは社内でも有名ですが。

〈CHOUCHOU〉中井絵里可店長

中井:3歳から好きです。

──そんな前から!?

中井:はい。祖母と母が好きだったので、その影響もあって。実家が北海道なんですが、宝塚は全国ツアーをするので、北海道でも公演があって、毎年見に行っていました。東京まで見に行ったこともあります。

──だいたい、月に何回くらい見るんですか?

中井:うーん、昔は月に15回とか観てましたね。わたし雪組が一番好きなんですけど(宝塚歌劇団には花・月・雪・星・宙(そら)の組制度がある)、同じ演目をずーっと観るんです。

──15回……2日に1回じゃないですか……(戦慄)。しかも同じ演目って……。

中井:今は月に3回くらいです。

──それでも多い(笑)。わたし、宝塚観たことないんですよ。でも、いわゆる「ヅカファン」の人って本当に幸せそうなので、きっと素晴らしいコミュニティなんだろうなと思います。宝塚の魅力ってなんだと思いますか? 

中井:生徒(宝塚では役者さんのことを「生徒」という)のみなさんが、とにかく一人ひとり個性的ですし、華やかな舞台でキラキラしていて、現実逃避ができるんですよね。ディズニーランドにいるような感覚に近いかもしれません。それでいて、一般的なミュージカルのようにスペクタクル感が強ぎることなく、生徒との距離が近いのが魅力だと思います。

──なるほど。宝塚ってもっと「高嶺の花」的な感じで、ファンは遠目から憧れているようなイメージだったんですけど、キーワードは「親近感」ですか。

中井:あと、ファン同士の結束も強いですよ。自主規制しあって若干面倒くさいこともあるんですけどね。人気の生徒にはファンクラブがあって、ファンクラブに入ると「出待ち」ができるんですよ。で、手紙なんかを直接渡せるんです。あと、「お茶会」に参加できる、っていう権利をもらえます。

元宝塚歌劇団花組の娘役紗愛せいらさん。
今回のPOP UPのために9つのブランドをセレクト

──お茶会?

中井:生徒が一人いて、司会がいて、ファンがズラーっとテーブルに座って生徒の話を聞きながらお茶を飲む会です。

──ふ、不思議な世界観ですね……。

中井:そして、写真も一緒に撮れて握手もできてお見送りまでできます!

──お見送りまで!(笑)。それは、ファンにとってはたまらないイベントですね。

ただのフェアじゃない、組み合わせの妙で新しい見せ方を

──中井さんは店長として、バイイングやディレクション、店頭のMDなどを手がけていますが、どんなきっかけで〈CHOUCHOU〉で働くことになったんですか?

中井:札幌から上京して、初めて渋谷ヒカリエに行った時に〈CHOUCHOU〉を見つけたんです。可愛いセレクトショップだなと思って見ていたら、アルバイト募集の張り紙があったんですよ! 家に帰ってからすぐ電話で応募しました(笑)。もともとコスメやアパレル、雑貨には興味があって、販売も好きだったので、そんなところで働きたいなと思っていたんです。それからアルバイトで数年勤め、その後大学を卒業して一度別の会社に就職しましたが、社員として戻ってきました。店長になったのは2016年5月からです。

──〈CHOUCHOU〉は2週間に一度お店の雰囲気がガラッと変わる、フェアやイベント主体のお店ですよね。常に新しいものを取り入れて、お客さまに提供するために、「今これがくる!」とか、「今これが売れいてる!」みたいな、時代の流れを読む力や瞬発力が求められそうです。

スタッフの意見を聞きながら、円滑なコミュニケーションを心がけているという中井

中井:「時代の流れを読む力」は大げさですよ……(笑)。でも、確かにこのお店は1階の入り口真正面にあるので、人通りも多いですし、色々なお客さまが入れ替わり立ち替わりいらっしゃるので、スピード感や、新鮮さは意識しています。女性のお客さまがメインですが、主婦の方、学生さん、お仕事帰りのOLさんなど、曜日や時間帯によって本当にさまざまですよ。土日はベビーカーを押しているファミリー層も増えますね。

──イベントの企画を立てたり、アクセサリー・雑貨などをセレクトしたりする時に心がけていることや、こだわりはありますか?

中井:他では見たことのない斬新なイベントや、珍しいと思っていただけるようなことを定期的に開催できるように心がけています。例えば、インスタグラマーの写真会付きイベントや、この前の「KUMAMOTO SUPER MARKET」、今回のトークショー付き宝塚フェアなどです! あとは、バレンタインやクリスマスなど、オケージョンやシーズンに合わせて、お客さまがその時に求められているものを真面目にセレクトしています(笑)。

──盛況だった2月のフェア、〈KUMAMOTO SUPER MARKET〉は、いわゆる普通の「物産展」とは一線を画していましたよね。どのような経緯で企画したんですか?

中井:もともと当店で扱っていたハーバリウムのお取引先が、くまモンのグッズ販売もしていて。「いつか熊本のフェアできないですかね」みたいな話をしていたんです。でも、ただ「くまモングッズ」を売るだけのフェアはつまらないから、熊本でしか手に入らない食材を取り上げたいな、と思って今回のフェアのかたちになりました。

〈KUMAMOTO SUPER MARKET〉

──野菜、果物からパン、お菓子までありましたらね。熊本にあんな面白くて美味しいものがあるなんて知りませんでした。あれだけゆるキャラが有名になっちゃうと、逆にそれしか印象に残らないんだなって。

中井:そうですよね。せっかくだから、東京ではなかなか出会えないものを紹介したかったし、ご当地の意外な魅力も知って欲しかったんです。今度は、私の出身地の北海道フェアをやりたいと思っているんです。道民は日頃から慣れ親しんでいるけれど、あまり全国的には知られていないようなお菓子のお店やブランドに声をかけて、ご当地の味わいを発信するフェアを開催してみたいですね。

「好き!」があふれるお店づくり

──宝塚の話題に戻りますが、やっぱり〈CHOUCHOU〉でやるからには、ただのグッズ販売にはならないわけですよね。

中井:今回のフェアでは3名の元タカラジェンヌが、〈CHOUCHOU〉の人気ブランドとコラボして、オリジナル作品を販売するんです。紗愛せいらさん(元花組)はもともとアクセサリーがお好きなので、紗愛さんの感性でいくつかブランドをセレクトしていただくことになりました。愛水せれ奈さん(元星組)はキラキラしているアイテムがお好きで、ご自身のスマホやネイルもキラキラしているものが多かったので〈Bijou〉がいいな、と思ったのと、星乃あんりさん(元雪組)は〈objet sayoko〉の個性的な素材使いの花のピアスが絶対似合うと直感し、ご紹介しました。

元宝塚歌劇団星組の娘役愛水せれ奈さんとの打ち合わせの様子

──中井さんの編集のセンスが光るわけですね。今回のような、元タカラジェンヌとブランドのコラボって珍しいですか?

中井:すごく珍しいですよ! いち宝塚ファンとしてもうれしい企画(笑)。参加してくださる3人は、みなさんご自身のインスタで今回のフェアのことを発信してくださっていて、そのコメント欄で「お店に行きます!」と言ってくださっているお客さまも多いですね。

──なんだか中井さんが楽しそうに話しているのを聞いていると、私も宝塚を観に行きたくなってきました。

中井:ぜひ観てください! シアターオーブでの公演はオススメです。私の大好きな雪組です。

──「好き」がとどまるところを知らないお店づくりは、見ていて楽しいですね。

中井:店長の職権乱用ですけど(笑)、幸い企画を出せる立場にいて、私じゃないと絶対にやらないアイディア、もったいないじゃないですか。せっかくだから、とことんやってみたくて、宝塚ファンの人たちに、より宝塚を楽しんでもらえるような企画にしたいです! もちろん、宝塚ファンではない方でも手に取ってもらえるような可愛いアイテムを揃えたので、ぜひ、いろんな方に立ち寄っていただきたいなと思っています。

 

元タカラジェンヌとコラボしたイベントは3月22日(金)よりスタート! 詳細はこちらから。

<プロフィール>

中井絵里可(なかい・えりか)

北海道札幌市出身。2016年から渋谷ヒカリエShinQs1Fのセレクトショップ〈CHOUCHOU〉の店長を務める。自他ともに認める大の宝塚好き。

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