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粕川店長と語り合うSPBSの売れ筋についてのあれやこれや1月号

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粕川店長と語り合うSPBSの売れ筋についてのあれやこれや1月号

どうしてこの本が売れているのか?
お客様は、いまどんな読み物を求めているのか? ……など
『今月のランキングから』は、奥渋谷の本屋「SPBS」の先月のベストセラーランキングを眺めながら、粕川店長にあれやこれやと振り返ってもらう企画です。 さあ、連載1発目、12月のランキングをいってみましょー!

 

1位:『ATLANTIS zine』/ 4位:『POPEYE(ポパイ) 2018年1月号』

 

ー 粕川店長、こんにちは。

 

粕川:ばたばたばた……(はぁ、はぁ、はぁ)。

 

ー お忙しそうですね……。

 

粕川:(はぁ、はぁ)ちょっと走ってきたもので……。す、すいません……。

 

ー師走の名残があるんですかね?

 

粕川:……そうですね、なんだかんだ、みんな走ってますねぇ

 

ー みんな走り回る12月は、1年で最大のギフトシーズンだったと思いますが、12月のベストセラーランキングを振り返ってみていかがですか?

 

粕川:はい、ギフトっぽい商品もたくさん仕入れたんですが、思っていたよりは売れなかったかな……という印象でした。一番の驚きは、手前味噌ですがSPBSの出版物『ATLANTIS zine』がランキング1位だったことです。

 

ー 2位の本の倍近く売れていますよね。

 

粕川:はい。わたしも、何が一番売れたんだろうとワクワクしながら結果を見たんですが、そこかー!という感じでした(笑)。もちろん、ランキングには「12月らしさ」もきちんと表れていて。雑誌『POPEYE(ポパイ) 2018年1月号』が4位にランクインしていますが、この時期の定番企画「ガールフレンド特集」号がやっぱり売れましたね。クリスマスを控え、ワクワクした気持ちで毎日楽しみたいよね、という世の中の空気全体が高揚した感じが表れているなぁと思いました。

 

ー ぼくは彼女募集中の身ですが、この時期はロマンティックな気分になるから好きです。

 

粕川:わたしは……今年も来たぞ、(商売かきいれどきの12月は)戦場だぁ、という感覚でいます。ロマンティックのかけらもないですね(笑)。

 

2位:『観察の練習』

 

ー2位は、『観察の練習』という本でした。これはどういう本なんですか?

 

粕川:ざっくり言うと、街中のどこにでもあるような光景の写真が載っていて、その写真を見て感じたことを著者が解説するという内容です。ワンテーマで写真が1枚、その次のページをめくった見開き2ページに解説、という構成なので、リズムよくドンドン読み進められるのもいい。日頃全然気にしない光景も、ちょっと注目して見てみるとこんなに違和感があって発見があるなんだな、と実感できます。日常の面白さを、改めて気づかせてくれる1冊です。

 

ー私も読みましたが、まさに観察の「練習」になる本ですよね。

 

粕川:はい。しかも、この本は一般の書店流通ではなく、出版社から直取引で仕入れているんです。NUMABOOKSという出版社さんから出ているんですが、このNUMABOOKSさんの存在が大きかったです。「在庫が無くなったので20冊ほどほしいです」と連絡したら「今から持っていきます!」とすぐ手持ちで持ってきて下さったりしました。お互いの会社の場所が近いということも大きいのですが、NUMABOOKSさんと「一緒に売っている」という感覚が強かったですね。

また、お客様からの注目度もものすごくて。お店の入口の黒板に「日常の違和感に気づかせてくれる本です」と紹介文を書いたら、すごい問い合わせが来ました。通りがかりのおばさまが「黒板に書いてある本どこ?」と聞いてきてくださったりして。「売れているな」というのが肌で実感できる本でした。

NUMABOOKSさんと一緒に売って、それがお客様にきちんと届いている。そういうことを感じられた1冊だったので、この本がランクインしていて本当に嬉しいです!

 

3位:『漫画 君たちはどう生きるか』/5位『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』

 

ー5位は、『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』でした。

 

粕川:はい。これ、実は著者が『観察の練習』と同じ菅俊一さんなんです。

 

ーそうなんですね。内容も通じる部分がありますよね。

 

粕川:そうそう、完全に通じてます! こちらも「少し見方を変えると、日常が面白くなるよ」ということに気づかせてくれる本です。こういった内容の本がランキング上位に入ってくるのは、個人的にも嬉しいです。SPBSは目的があって来店される方ばかりではなくて、ふらりと立ち寄って買ってくださる方も多いので、まさに「見つけてくれた」ということなので。

 

ー3位も、同じく漫画で『漫画 君たちはどう生きるか』でした。小難しい古典本を、漫画で分かりやすく読んで知識を取り込みたい、というニーズも強そうです。

 

粕川:そうですね。けどそれは、「SPBSらしさ」というよりは、巷の傾向という感じがします。

 

ーなるほど、たしかにそうですね。なんか、全体的にカタイ感じの話になってしまいましたね(笑)。

 

粕川:もうちょっとやわらかくいった方が良かったですかね(笑)。次回は、もう少しゆる〜く話そう思います!(笑)

 

 

【12月 SPBS ベストセラーRANKING】

1位:『ATLANTIS zine』(SPBS) 1,404円(税込)

2位:『観察の練習』(NUMABOOKS) 1,728円(税込)

3位:『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス )1,404円(税込)

4位:『POPEYE(ポパイ) 2018年 1月号 [ガールフレンド ’18。 別冊付録:OLIVE復活!]』(マガジンハウス)880円(税込)

5位:『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』(マガジンハウス) 1,620 円(税込)

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