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粕川店長と語り合うSPBSの売れ筋についてのあれやこれや4月号

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粕川店長と語り合うSPBSの売れ筋についてのあれやこれや4月号

どうしてこの本が売れているのか?

お客さまは、いまどんな読み物を求めているのか? など、

 

『ほぼ最新のランキングから』は、奥渋谷の本屋「SPBS本店」の先月のベストセラーランキングを肴にして、粕川店長にあれやこれやと振り返ってもらう企画です。 さあ、今回もいってみましょー!

 

文・写真=SPBS編集部

 

1位:『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』花田菜々子(河出書房新社)

──粕川店長、今月もよろしくお願いします! 4月のランキングトップは、新刊の『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』でした。

 

粕川:はい! 通称『であすす』ですね。これは、私がど〜しても売りたくて仕方なくて、たくさん仕入れて新刊台の目立つところに置きました。

 

──「ど〜しても売りたくて仕方ない」って、良いですね! それに、表紙も素敵だから、女性に人気がありそうです。

30代中盤になり、仕事もプライベートも上手くいかず苦しんでいた書店員、花田菜々子さんの実話が綴られた1冊。同世代の私自身、共感ポイントがあり過ぎて、webマガジン温度というサイトで連載されていた時から、毎回号泣しつつ読んでいました。その待望の書籍化です!(粕川)

 

粕川:蛍光イエローとピンクの表紙、目を引きますよね! でも実は、最初に見た時「この表紙、SPBSのお客さまには合うだろうか……?」って、一瞬不安になってしまったんです。普段SPBSで動きの良い本の表紙とは、真逆のものだったので。でも、それでもど〜しても売りたくて、イベントも企画しました。で、その告知をインスタに挙げたら、いつも多くても200の「いいね!」が、なんと300もついて、不安が吹っ飛びました。

 

──吹っ飛んだんですね(笑)。個人的には、タイトルのキャッチーさも人気の理由じゃないかと思うんですが、どうですか?

 

粕川:たしかにそうですよね。でもでも、ここは言わせてください。最初はタイトルや表紙のかわいさにひきつけられる本だと思うんですけど、読み始めてみると良い意味で期待を裏切られます。というのも、出会い系サイトのことが主題ではなく、そのサイトを通して70人の初対面の方に本を薦めていった花田さんの経験が語られていくノンフィクションなんです。いろいろな方と出会い、コミュニケーションを重ねていくうちに、花田さん自身の内面もどんどんリニューアルされていきます。Twitterでは、この本を「冒険譚」という表現をされていた方がいましたが、まさに「花田菜々子の人生の冒険譚」と言える内容です。

 

──ほうほう、「冒険譚」という見方ができるとは意外でした。ちなみに花田さんは、最近オープンした日比谷の書店の店長さんでもあるんですよね?

 

粕川:はい、そうです。さらにこの本のこともあって、ここ最近あらゆるメディアに露出していらっしゃいます。SNSでももちろん話題です。それもあって多くの方に手に取ってもらっている、ということもあると思うんですが、そういうきっかけでも、そうじゃなくても、「変わりたい」と思っている人に引っかかる要素を持った本だから、売れているんじゃないかなと思います。出会い系サイトって、日常生活では出会うことの無い、まったく知らない人と会うわけじゃないですか。そんな経験、大人だからこそ勇気がいるし、それこそ「冒険」だと思うんですよね。そこに立ち向かった花田さんから、何かきっかけを得たいと思っているんじゃないかと。

 

──なるほど粕川さんは実際、読んでみてどうでしたか?

 

粕川:涙ボロボロ流しながら読みました! 「これ、私のことだ!」って。花田さんが自分のように思えてきて、「私は本を武器に冒険してるんだ!」って! 「SPBSのお客さまにも、自分の殻を破って冒険する勇気を、この本から味わって欲しい!!」 って! だからど〜しても売りたかったんです!!!

 

──お、落ち着いてください……。でも、その粕川店長の熱い思いが、お客さまにも届いたのかもしれませんね。

 

粕川:はっ! す、すみません。ちょっと感情移入しすぎちゃいました(笑)。はい、届いたのであれば、とても嬉しいです。

 

──それに、いま話を聞いていて、自分の内面と向き合える本、という感じがしました。

 

粕川:はい。自己啓発とは少し違いますが、生きるパワーをもらえます。さっき話した発売記念トークイベントでは、「人生の分岐点」をテーマに、花田さんをお迎えしてお話ししてもらいました。起業や転職など表面的な変化ではなく、ただ「自分を変えたい!!」という気持ちを強く持ったときこそが、本当の「人生の分岐点」なんだと再確認しました。花田さんはその気持ちを持って、70人の方と出会い、大きく変わっていきました。世代や男女関係なく「自分を変えたい」と思っている方にぜひ読んでほしい一冊です。

 

2位:『さよなら未来ーーエディターズ・クロニクル2010-2017』若林恵(岩波書店)

──新刊の中では『さよなら未来ーーエディターズ・クロニクル2010-2017』が、2位でした。こちらはどういう本なんですか?

 

表紙のイラストは漫画家の宮崎夏次系さん、デザインは雑誌『WIRED』も手掛けていたアートディレクター藤田裕美さん、そして帯文はDJのtofubeatsさん。その組み合わせも、あらゆる分野に精通している若林さんらしさがあって、要注目ポイントです。(粕川)

 

粕川:雑誌『WIRED』の編集やそれ以外のお仕事を通じて、テクノロジーやカルチャーなど最前線の知に触れてきた若林恵さんの7年間の思考をまとめた本です。発売前から話題になっていたので、ファンの方にとっては待望の一冊ですね。

 

──『WIRED』はどのくらい売れていたんですか?

 

粕川:100冊仕入れていた時期もありました。

 

──100冊!! なぜそんなに人気だったんでしょう?

 

粕川:驚きですよね。個人的に『WIRED』には、「テクノロジーの雑誌」というだけではなく、「テクノロジーが生むカルチャー」という要素が含まれているという印象があります。SPBSのお客さまが手に取る本はもともと、テクノロジーそのものについて説明する本よりも、「新しいテクノロジーを使うと、未来はどうなるのか?」ということを教えてくれるような本が多いので、ニーズが合致していたんだと思います。

 

──なるほど~。

 

粕川:そうそう、「ブルーボトルコーヒー」が日本に上陸する直前に、『WIRED』で特集されたことがあったんですが、それがまた人気で。その関連イベントをSPBSで開催したんですが、申し込み数が多すぎて、ほぼ同じ内容で2回やることになったんです。「ブルーボトルコーヒー」を知らない人が、まだまだ多かった時期だったんですけど。でも、その号の『WIRED』が注目していたのは、本国アメリカで「ブルーボトルコーヒー」を後押ししているのは、テクノロジー系の仕事に就いている方々だ、っていうことだったんですよね。そこに面白みを感じるお客様が、SPBSにも多かったってことなんだと思います。

 

──そんな興味深い出来事があったんですね!

 

粕川:そうなんです。そのくらい、SPBSにとって『WIRED』は印象深いというか、SPBSのお客さまに届けたい!と強く思う雑誌の一つでした。

 

──あ、そうか、それが今回の『さよなら未来』にも繋がっているんですね。

 

粕川:はい、そうなんだと思います。だからこそ、たくさん仕入れました! あと個人的には、『WIRED』の中でも「音楽」にまつわる記事が好きだったんです。若林さんは音楽も詳しくて、テクノロジーや未来の文脈の中で出てくる音楽の話はおもしろかったです。今回の本にもいくつか収録されているので、ぜひチェックしてみてください!

 

3位:『はたらく基本100 毎日がスタートアップ』松浦弥太郎、野尻哲也(マガジンハウス)

──3位は、松浦弥太郎さん、野尻哲也さんの『はたらくきほん100 毎日がスタートアップ』でした。4月らしいタイトルが入りましたね。

 

中目黒にあるCOWBOOKSの経営者であり、『暮らしの手帖』の編集長も務めていたエッセイスト松浦弥太郎さんが、新しく立ち上げた会社「株式会社おいしい健康」の共同CEOである野尻哲也さんと共著した本です。社会人生活が長い私でも、背筋がピンと伸びる言葉が多く記されています。(粕川)

 

粕川:そうなんです。こちらは新刊ではないのですが、4月ということで、働くことについて、新たに考える方も多いのではと思い、新刊台に置いてみました。そうしたら、とても反響がありました。見開き1ページで内容が完結しているので、ちょっとした隙間時間にめくることができるのもポイントです。松浦さんと野尻さんの仕事への向き合い方が、簡潔にズバっと目に飛び込んでくるので、あたらしい気持ちで仕事に立ち向かいたいという多くの方にオススメの本です。

 

──あたらしさと言えば、SPBS本店にも新人スタッフが入ってきたとか。

 

粕川:そうなんです! 私も、あたらしい気持ちになって日々過ごしています。新スタッフが仲間に加わったことで、SPBSのカラーも少しずつ変わっていくと思いますので、ぜひそんな変化も楽しんでいただけたらと思います! ご来店お待ちしてます!

 

 

【4月 SPBS ベストセラーRANKING】

 

1位:『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』花田菜々子(河出書房新社)1,404円(税込)

 

2位:『さよなら未来ーーエディターズ・クロニクル2010-2017』若林恵(岩波書店)2,376円(税込)

 

3位:『はたらくきほん100 毎日がスタートアップ』松浦弥太郎, 野尻哲也(マガジンハウス)1,620円(税込)

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