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【トークイベント】『物語化批判の哲学』刊行記念/難波優輝× 須藤輝彦「〈何者か〉になれない時代に、どう生きるか――人生の物語化をめぐって」@SPBS本店

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【トークイベント】『物語化批判の哲学』刊行記念/難波優輝× 須藤輝彦「〈何者か〉になれない時代に、どう生きるか――人生の物語化をめぐって」@SPBS本店

 
家を継ぐ、国に尽くす――かつては多くの人が生きる意味を「物語」として与えられていました。

けれどそのような伝統的なストーリーが力を失いつつある現代、私たちは「私は何者なのか」を、自分自身の言葉で語らなくてはならなくなっています。

就職活動での自己PR、SNSでの共感を誘う投稿、推し活をめぐる美談の数々。

「うまく語れる人」ほど評価され、注目を集めるこの時代の熱狂は、〈物語〉という形式が、なお人びとの願いや焦燥を引き受けていることの表れかもしれません。

新進気鋭の美学者・難波優輝さんによる新刊『物語化批判の哲学』は、そうした「物語化」された人生の語りに疑問を投げかけます。

人生も、世界も、物語ではない。

そう断言する一方で、だからこそ、フィクションとしての物語――小説や映画といった表現の力を、あらためて問い直そうとする哲学的な一冊です。
 
SPBS本店ではその刊行を記念して、著者の難波さん、そして2024年3月に『たまたま、この世界に生まれて』(晶文社)を上梓した文学研究者・須藤輝彦さんをお招きし、トークイベントを開催します。

代表作『存在の耐えられない軽さ』で知られる作家ミラン・クンデラを通じて「運命」や「物語」を読み解いてきた須藤さんとともに、物語に回収されてしまう人生の「危うさ」と「面白さ」について、異なる視点から探究していきます。

「何者か」になりきれないままにある不安。

語れないままの「私」と、語られすぎた「私」のあいだで揺れる日々。

人生の「これから」を思い描く人にも、「これまで」を振り返る人にも届いてほしい、珠玉の対話の時間をお届けします。
 
トーク終了後は、サイン会を予定しています。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
 

▷ 開催概要

■ 日時:2025年8月27日(水)19:00-20:30
■ 会場:SPBS本店(東京都渋谷区神山町17-3テラス神山1F [MAP])/オンライン
■ 参加費:
① 会場参加(先着35名) 2,200円(税込) *書籍は当日会場でご購入いただけます
② オンライン視聴 1,650円(税込)
③ オンライン視聴(書籍『物語化批判の哲学』付)2,376円(税込・送料込)
■ お申し込み:
こちらのリンクからお申し込みいただけます(イベント管理サービス・Peatixのページに移動します)。
 

▷ ゲスト


難波優輝(なんば・ゆうき)
1994年、兵庫県生まれ。美学者、会社員。立命館大学衣笠総合研究機構ゲーム研究センター客員研究員、慶應義塾大学サイエンスフィクション研究開発実装センター訪問研究員。神戸大学大学院人文学研究科博士前期課程修了。専門は分析美学とポピュラーカルチャーの哲学。著書に『物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために』(講談社現代新書)、『SFプロトタイピング』(共著、早川書房)、『なぜ人は締め切りを守れないのか』(堀之内出版より近刊予定)など。
X(旧Twitter)|@deinotaton
 

須藤輝彦(すどう・てるひこ)
1988年、東京生まれの神戸育ち。東京大学助教。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。ヴェネツィア国際大学、カレル大学、ソルボンヌ大学に学ぶ。ミラン・クンデラを中心に、チェコと中欧、啓蒙期の文学や思想に関心がある。著書に『たまたま、この世界に生まれて──ミラン・クンデラと運命』(晶文社)、共訳書にアンナ・ツィマ『シブヤで目覚めて』など。ノートルダム火災についてのルポルタージュ(集英社新書プラス)、『文学+』WEB版文芸批評時評、『文學界』新人小説月評のほか、現在は『群像』で「運命の文学史 終わりから始まる物語」を連載中。
X(旧Twitter)|@t_pseudo
 

▷ 書籍について


物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために
著者:難波優輝
発行:講談社(2025年7月17日刊行)
定価:960円+税
ISBN 9784065399644/240頁

物語はなぜ苦しいのか?「物語」が過剰に要求される現代社会で、「人生とはかくあるべきだ」という押しつけに抗う。新進気鋭の美学者による「次世代の哲学」。
【抜粋】
清涼飲料水の広告の少女はいつもドラマティックな青春を謳歌しているし、「推し」はファンの期待した筋書きどおりに振る舞うし、就活面接では挫折経験を「美談」として語らねばならない。
私は端的にこう思う。何かがおかしい、と。
人々はあまりにも強い物語の引力に引き寄せられて、もはや物語に支配されつつあるのではないか、と私は危惧し始めた。
だから、私はこれから、物語に対抗したいと思う。何かしらの物語が私たちの幸福を奪うのだとしたら、もはやそんな物語は廃棄されるべきだろう。私はよき物語を愛している。それゆえ、物語を批判したいと思う。愛するということは、支配されるわけでもなく、支配するわけでもなく、独特のバランスのなかで惹かれ合い、反発し合うことなのだと考えている。
第一部の「物語篇」では、物語化の持つ魔力と危うさを論じていく。第二部の「探究篇」では、物語の危険を避け、物語を相対化できるような思考を「遊び」を手がかりに探索していこう。その中で、改めて物語との向き合い方がみえてくるはずだ。
物語化批判、そして、遊びの哲学を始めよう。
 

たまたま、この世界に生まれて――ミラン・クンデラと運命
著者:須藤輝彦
発行:晶文社(2024年3月22日刊行)
定価:3,600円+税
ISBN 9784794974167/388頁

『存在の耐えられない軽さ』などの小説作品で知られ、長年ノーベル文学賞の有力候補に名を連ねながら惜しくも世を去った作家ミラン・クンデラ(1929–2023)。東と西、政治と文学、歴史と現在、偶然と必然のあいだを揺れ動く人間の運命を見つめ続けた作家の仕事を読み解く本格評論。第4回東京大学而立賞を受賞した博士論文を大幅改稿。
 

▷ 注意事項

・イベントの録画・録音は禁止となります。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
・お客さまのご都合によるキャンセルは、原則お受けしておりません。
・チケットをご購入いただいたすべてのみなさまに後日アーカイブ動画をお送りします。イベント終了後1週間(土日祝除く)以内に視聴リンクをお送りし、視聴期限は1カ月となります。
・オンライン参加の方はZoom ウェビナーのURLからご視聴ください。
・書籍付チケットの書籍について、お申込み時期によってはイベント終了後の発送となる場合がございます。何卒ご了承ください。
 

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